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「あまちゃん」の世界⑤ [春子という生き方]

春子は、もう一人の主人公。
春子1春子という人は、
なにかにつけ、イラついている。

面白みのない夫にイラついている。
自分が嫌いなものばっか好きになる娘に
イラついている。
春子2自分とちゃんと
向き合ってくれない母親に
イラついている。

故郷の、あいかわらずの
「イナカっぽさ」にイラついている。
春子42だけど。
いちばんイラついてるのは、
自分自身に対して、のような気がします。

24年前、「リアス線」開通に沸く町民の波を
かき分け、一人、流れに逆らい町を出ていき。
春子4「こんなド田舎、いたくねぇ」と。
「東京で一旗あげるまでは帰れねえ」
ぐらいの気持ちはあったでしょう。

しかし夢、破れ。
結婚し家庭を持ったけど、
その生活にも嫌気がさし。
春子41「凱旋」ではなく「出戻り」という形で
故郷の地を踏むのは屈辱だったはず。

「こんなはずじゃなかった」
「私は何も成し遂げてない」的な思いが
心のどこかに、くすぶってるような…
春子5春子がいちばん輝いてたのは高校時代でしょう。
地元では美人と評判で、
のど自慢大会を総ナメにし…

このドラマは、基本的には
主人公・アキの成長物語ではありますが。
春子620数年前、挫折した春子が、もう一度、
自分なりの輝きを取り戻す物語でも
あるような。「輝き」といっても
「また、歌手を目指して」とか、
そういうこっちゃないんですがね。






口実の上塗り。
春子7春子は母・夏について、
こう言います。
「都合が悪い話になると
寝たフリをする。昔っから、そう」
と。

春子が家出する前、母に
「東京さ、行きてぇ」と
春子8自分の気持ちをぶつけるも。
母は、娘の呼びかけに無反応。

夏さんは
「去る者は追わず」と言ってたけれど。
実は、真正面からぶつかるのは
苦手なのでは、と。
指輪それは春子にも言えることでして。
離婚について、夫に直接言わず、
離婚届と手紙を郵送し、
カタを付けようとしたり。
世の「別れたがってる人」の多くは、
できれば話し合いとかせず
春子9スパッと断ち切りたい的な気持ちは
あるでしょう。けど、子供がいれば、
そう簡単に都合よくチャチャッと
幕引きできるもんじゃないでしょうに。

春子は、なにかしら「口実」がないと
動けないとこがあるようです。
春子44「アイドルになりたい」という想いは
本気だったとは思いますが、
「町を出る」口実になってたような。

大吉の「春さんが危篤」メールがウソなのを
わかっていながら乗っかったのは、
「東京を脱出する」口実だったし。その割には
春子45「しょうがねーな、そこまで言うんなら
帰ってやっか」的な態度。
実家に戻ったものの。すぐに母と険悪に
なって東京へ引き返そうとするも、
アキが「帰りたくない」とゴネてくれた
おかげで「娘のために渋々とどまる」という
体(てい)でいられたわけで。




ウソでもいいから…
春子10『あまちゃん』の中で、
いい場面はいっぱいあります。
が、そこには、たいがい春子がいて。
やっぱり彼女がキーパーソンだなぁ、と。
とりわけ春子の思いの丈をぶつけるシーンは、
どれも引きこまれます。
春子11  なんで(駅に)来なかったのよ!
  どんだけ愛情薄いんだか
  しんないけどさぁ、
  18の娘が高校やめて家出するって
  言ったら、ウソでも止めるじゃん!
  追いかけてくるじゃん!

春子3  あの時、ウソでも駅まで来てくれて、
  ウソでも「行ぐな」って言ってくれたら、
  考え直したかもしんないじゃん!

  あん時、ちゃんと答えてくれたら、
  こんなに こじれなかったんです!

春子13  ウソでも正月とお盆には、
  ウソでもダンナと孫の顔見せに、
  ウソでも帰ってこれたんです!







春子14  東京で暮らしてるとさ、
  「母の日には
  カーネーションを贈りましょう」とかさ。
  「父の日にはネクタイを」とかさ。

  そういうのが目に入るじゃない?

春子15  そしたら、ウソでも思い出すわけよ。

  ウソでも「元気かなー」
  「どうしてるかなー」って、思うわけよ…








さよなら東京、さよなら口実。
春子17夏休みが終わり、予定通り東京へ戻る日。
春子は、ふと、
“24年前の光景”が頭をよぎり。

ずっとここにいたいアキは、
名残惜しそうに町を見渡します。
春子18出発の時刻になってもアキは電車に乗らず。
というより、足がすくんだように動かない感じ。

春子「あんたが決めたのよ。東京帰るって」

アキ「うん…」
春子19春子「どうしたの、アキ」

アキ「・・・・」

春子「どうしたいの、アキは!」
春子21アキ「…うん!」

アキの「うん」は「ずっと、ここにいたい」の
「うん」であって。アキとしては「うん」と
言うのが“精一杯の自己主張”だった。
そして春子もそのことは、承知してたわけで。
春子20「ウソでもいいから、アンタが東京に
戻りたくないと言ってくれれば、ママだって、
とどまれるのに」と…。

向かい合う春子とアキは、なんだか
「今の春子」と「24年前の春子」が
対峙してるようにも見えました。そして、
春子22春子の「どうしたいの?」という
問いかけは、アキにではなく
自分自身に問いかけてるような。

はずみで電車を降りてしまった春子は、
思わずアキの腕を取り、ホームに引きおろします。
春子23とっさの行動でしたが、
「アキの気持ち」に便乗せず、
自分の意志でとどまった瞬間でした。

“東京方面”へ去っていく電車に
手を振る春子の顔は、実に晴れやかでした。
春子24実家に戻った春子は、母にこう言います。
「(ここで暮らすのは)この子のため
じゃないですから。私のためですから」と。
そして、春子は、ずっと言えなかった
「ただいま」を言い、
夏さんも「おかえり」と迎え入れるのでした。
春子12けどね。
夏さんとしては、
孫の名前が「秋」というのを
知った時、わだかまりは
ほとんど消えてたと思うんですけどね。






やわらかくなった春子。
春子25アキが「潜水土木科に転科したい」と言い出し、
面談のために母校に訪れた春子。

アキ「懐かしい?」

春子「んー、あんまりいい思い出ないけどねー」
春子26…と言いながらも。

2階の渡り廊下で
たむろしてる学生たちを見て、
当時のことを思い出す
春子なのでありました。
春子27

ツッパリ仲間と
ダラダラしてる春子。


春子28

春子のことを心配する大吉。

「ただの幼馴染なんかじゃねえ」と。

春子29
春子とて、
大吉の「想い」は
気づいてたでしょうに。

春子30

春子「なつかしいー…」

春子31
アキ「えっ?」

春子「もう一度、ここ通るとは
   思わなかったよ」

春子32
春子「あんたのおかげだね。ありがとね」

あんなに故郷を嫌ってたけど、今は
「田舎もそんなに悪いもんじゃない」
みたいな?





あの灯台の下で。
春子33
堤防の先にある灯台が、
春子の秘密基地でした。

母という「追っ手」から逃れる時、
いつも、ここに来ていたのです。
春子34

マジックで
「地元への嫌悪」と
「東京への憧れ」を書き連ね。

春子35

あれから27年。

春子36

当時の落書きが
残っており。

春子37

東京、原宿、表参道…

春子38
春子は、あの頃の自分に
語りかけるように
「そんなに、いいもんじゃないよ」と、
つぶやくのでした。



設定6
アキは、母のそんな事情を
知ることもなく。

この町へ着た頃、堤防の先へ。
春子39

「自分の殻を破るんだ」という
思いで、海にダイブ!

春子40
そういえば、春子は母に
「今度、(この町を)出ていく時は、
泣きながら旗振ってもらいますから」と
啖呵をきってたっけ。





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  1. 2013/05/13(月) 18:40:00|
  2. あまちゃん